19世紀末ヨーロッパを中心に流行した装飾様式のアールヌーボーを代表する芸術家、アルフォンス・ミュシャ(1860〜1939年)。今年で生誕150周年を迎えるのを記念して、東京で展覧会が開かれている。華麗な装飾は、いまも新鮮だ。
オーストリア帝国の支配下にあったモラビア地方(現チェコ)に生まれ、パリで活躍したミュシャ。有名になる前は、商品の宣伝ポスターや雑誌の挿絵などを制作し、細々と生活していた。そんな折り、当時のパリで活躍した大女優、サラ・ベルナールと出会い、舞台のポスターを手がけたことで時代の寵児(ちょうじ)となった。
1890年代の一連のポスターは、背景に植物などのモチーフをあしらい、装飾的で華麗。グラフィック・アートで生活できるようになったのも、彼女の芝居のためのポスター「ジスモンダ」などを制作してからだった。1900年に創刊された『明星』にもサラのポスターのデザインが挿絵で使われたほど。世界に広まっていった証しでもある。
人気者となったミュシャは1900年に開催されたパリ万博に参加。オーストリアなどいくつかの国のパビリオンの内部装飾を手がけ、同時に、モニュメント「人類館」のデザインに参画した。
ミュシャの構想はエッフェル塔の2階以上を解体して建設しようとしたものだった。有機的な建築に寓意像や翼をつけた巨大な守護神が立つ、奇抜なものだった。実現には至らなかったが、意外な一面を見せている。この下図も本展で展示されている。
アメリカでの生活を経た後、故郷に戻って活動。代表作となる20点の連作「スラヴ叙事詩」(油彩)を18年もの歳月をかけて完成させ、プラハ市に寄贈した。母国の紙幣や警察官の制服もデザインするなどして幅広く活動した。
本展は日本の有力コレクターから寄贈を受けた堺市の所蔵品が主な展示品となっている。
そのほかにも、プラハ国立美術館やオルセー美術館といったミュシャの故郷・チェコや彼が世に出るきっかけとなったフランス国内のあわせて12カ所の美術館から、幅広く作品を集め、ミュシャの全容がわかる内容となっている。
展覧会ではサラの芝居のためのポスターなどのほか、油彩作品などが展示されている。7月4日まで(月曜休)、三鷹市美術ギャラリーで開催中。
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